頑張っているはずなのに、なぜか満たされない。
人と関わるほど、疲れてしまう。
私はこの状態にいる人を、何度も見てきました。
そして多くの場合、問題は性格でも能力でもありません。
単純に、「心の栄養」が枯渇している。
心理学の交流分析(TA)には、
この状態を極めて端的に説明する概念があります。
それがストロークです。
私はストロークを、
「優しさ」や「承認」ではなく、
生きるための資源として扱っています。
① ストロークは「あるといいもの」ではなく「ないと詰むもの」
ストロークとは、
「あなたはここにいていい」と伝える、あらゆる関わりです。
声をかける、名前を呼ぶ、
話を聞く、存在を認識する。
これが不足すると、人はどうなるか。
やる気が出ない。
人が信じられない。
どうでもいいことで傷つく。
これはメンタルが弱いからではありません。
栄養失調です。
食事を抜けば体が動かなくなるのと同じで、
ストロークがなければ心は機能しません。
まずここを勘違いしないことが、すべての出発点です。
② 人に優しくできないのは「在庫切れ」を起こしているだけ
「もっと人に優しくなりたいのにできない」
「余裕のある大人になりたい」
そう悩む人ほど、
自分を責めます。
でも私はこう考えています。
優しさは性格ではなく、資源。
あなたの中には、
ストロークを溜めるラブタンクがあります。
このタンクが空の状態で、
人に与え続けるのは無理です。
むしろ危険です。
自分を満たすことは、
甘えでもワガママでもありません。
人と関係を結ぶための前提条件です。
③ 私たちは「ストロークを制限されるルール」で育ってきた
多くの人が、
ストロークをうまく扱えません。
理由はシンプルです。
幼少期に「制限された経済ルール」を教え込まれている。
代表的なものを挙げます。
- 褒めすぎると調子に乗る
- 欲しがるのはわがまま
- 我慢できる子がいい子
これらは、
子どもを管理しやすくするためのルールでした。
でも大人になった今、
同じルールで生き続ける必要はありません。
むしろそのせいで、
- 褒められても受け取れない
- 助けを求められない
- 嫌な誘いを断れない
という「慢性的消耗」が起きています。
④ 断ることは冷たさではなく、資源管理である
ストロークには、
受け取るかどうかを決める権利があります。
これは、とても重要です。
欲しくない誘い、
消耗する関わりを受け続けると、
ラブタンクは濁ります。
だから私は、
断ることを「関係破壊」ではなく、
戦略として教えています。
ポイントは、相手を否定しないこと。
感謝+事実+選択肢
この順番だけ守ればいい。
断ることで守っているのは、
自分の自由と、関係の寿命です。
⑤ お金より先に回すべきなのは「ストローク経済」
最後に、
一番誤解されやすい話をします。
ストロークと経済は、切り離せません。
なぜなら、
- 信頼
- 協力
- 評価
これらすべてが、
ストロークの循環の上に成り立っているからです。
自分を認め、
相手を認め、
受け取ったものに「ありがとう」と言える。
この循環が回り始めた人から、
現実も静かに動き出します。
お金を回す前に、ストロークを回す。
順番を間違えないことが、
人生の豊かさを左右します。
まとめ|まず「自分」という最小単位から満たす
ストロークは、減りません。
与えても、受け取っても、
むしろ増えます。
今日できることは、難しくありません。
- 自分に一言、労いの言葉をかける
- 褒め言葉を否定せず受け取る
- 欲しくないものを静かに断る
まずは自分から。
あなたのラブタンクが満たされたとき、
人間関係も、人生も、
自然と呼吸を取り戻します。
今夜、眠る前に問いかけてみてください。
「今日の私は、何をよくやった?」
その一言が、
明日のあなたを支える栄養になります。
